14: おむすびとはちまき

手縫いの赤色はちまき、白と青の体操着と上履きには大きく名前がかかれ、赤いランドセルのかわりに背中にしょったのは臙脂色のリュックサック. 自分の顔と同じくらいの大きさの水筒をもって歩く、いつもと変わらない通学路は、どこか違ってみえた朝.

 

開会式、100m走、むかで競争、水筒の麦茶が半分になろうとするお昼頃. 生徒席に並んで座っていた友達に短い別れを告げて、家族たちの顔がそろうレジャーシートへ向かうのでした.

 

たこさんウインナー、甘いたまご焼き、トマトとアスパラのベーコン巻き、そして銀紙につつまれたおむすび.

家を出るときにみた台所の母の横顔、その手には酸っぱい梅干しと炊き立てのご飯、母の手のひらには手際よく握られていくおむすびたちがいました.

銀紙を広げ、わたしたちがおむすびを頬張る頃には、のりがしんなりとして梅と少し振り塩されたご飯と、疲れを飛ばす梅干しの酸っぱさが口に広がるのです. わたしはこの梅のおむすびが大好きで、運動会や学芸会などの行事のときに、母が握ってくれるのをひそかに楽しみにしていたほどです.

 

食欲の秋、運動の秋、わたしの好きな季節がやってきました.

夏と冬の間の短い季節、どうかおいしく楽しく過ごしたいものです.