28: 飛べない鶯は都へ落ちる

 

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10年前の22才、わたしが大学を卒業して春から勤めはじめたのは「自宅」でした.

 

 毎週月曜日に刊行される求人情報誌をスーパーへもらいにいき、求人を探すものの応募に至らず「今日も応募先見つからなかった」とさまざまなことを先送りにする日々. 「やりがいのある仕事です!」と笑顔の求人欄の写真をみても、「わたしのやりがい」ってなんだろうと釈然としないままでした. とはいえ経済的な面で収入がないわけにはいかなかったため、同年の秋口には大学時代にアルバイト経験のあった医療関係の仕事に就きました.
 10年後の32才、わたしは正社員として勤めてきた仕事を誰でも社会に出れば悩むような、そんな月並みな理由で退職しました. でも、わたしはまたあの頃と同じ「わたしのやりがい」をうまく描けずに立ち止まっています. 何事も取り組み決断するまでに時間がかかり、しまいには"やるぞ"と目前まででかけたものをやめてしまったりすることが増えています.

 

 どうにも、こうにも、ちょっとつかれてしまったみたいです. もう放浪娘にでもなってどこか誰も知らない場所へいってしまえばいいのかもしれません.